モニターヘッドフォンは数多く存在しますが、10万円を超えるモデルは一握り。
今回はその中から、「Clear MG Pro」の購入レビューをします!
旧モデル「Clear Pro」がハイエンドヘッドフォンの先駆けとなり、いまなお根強い人気を誇るFOCALのフラグシップ開放型ヘッドフォンの実力とは…
ヘッドフォンでの作業が中心の、DTMer / クリエイター / エンジニアの皆様はぜひご一読ください。
Clear MG Pro を導入しようと思ったきっかけ
とにかく「モニタースピーカーを鳴らして作業できる時間が少なくなってしまったから」これに尽きます。
普段はFOCAL SHAPE 50を使用していますが、仕事や子育てが忙しくなってきてしまい、DTMができるのは平日の22:00以降だけになってしまいました。
そうなると、モニタースピーカーは小音量でしか鳴らすことができず、適切なモニタリングが出来ません。(小音量だと人間は聴覚の仕組みとして低音/高音を認知し辛くなります。気になる方は、等ラウドネス曲線でググってみてください。)
こんな時のために世間では評価の高い密閉型ヘッドフォンTAGO STUDIO T3-01を持っていましたが、4,5年使用していてもやはりスピーカーとのギャップが埋められず、悩んでいました。
そこで一念発起して、開放型のハイエンドヘッドフォンを買ってみようと思い至ったわけです。
Clear MG Proは元々知っており第一候補としていましたが、次の項では他に候補に挙がっていたモデルを紹介しておきます。(いずれも試聴してきましたので、その感想も含めて!)
他に候補に挙がっていたハイエンドヘッドフォン
その他のハイエンドヘッドフォンとして、候補に挙がっていたのは下記のモデルでした。
AUDEZE / MM-500
あのグラミー賞エンジニア Manny Marroquin 氏の名を冠したヘッドフォンです。
AUDEZE というブランドはリスニング用途の製品が多く、モニター用途のヘッドフォンはこれが初めてなのではないでしょうか。
実際に試聴しましたが、いままでのヘッドフォンの常識を壊すレベルのクオリティでした。
低音の質感が完全にATC SCM25A Proなどの3wayモニタースピーカーのそれ!面でしっかり感じ取れます。
しかしながら、ちょっと重たく感じたのと、FOCAL SHAPE 50とは音傾向のギャップがあること、Clear MG Pro からさらに+10万円という高価格(価格に見合った音質だとは思います)、が理由で候補から外しました。
…FOCALでは見れない低域がモニターできるので、これもいつかは購入したいですね!
HEDD / HEDDphone
ADAM→EVE→HEDDと続く、モニター用途としては有名なブランドですね。
HEDDのモニタースピーカーは非常にバランスが良い印象があり気になっていたので、試聴してみました。
誇張された変な帯域がなくバランスが良い!…のですが、音の良さを忘れさせるくらい重い。
この重さは長時間の作業には向かないだろうなということで、候補から降ろしました。
バランスケーブルなどが純正でラインナップされている点などは優秀なので、装着感が許せて、バランス接続ができるヘッドフォンアンプをお持ちの方は、このヘッドフォンを使いこなせるのではないでしょうか!
NEUMANN / NDH 30
最近発売されたばかりのNEUMANN初の開放型ヘッドフォン。
KH 80 DSPなどのモニタースピーカーが流行っていることは知っていたので、こちらも試聴してみました。
ほんとうにKHシリーズモニタースピーカーを鳴らしている時とのギャップが少ない。
トランジェントがくっきりはっきりしつつも、スピーカー同様に空間が感じられる音。
密閉型のNDH 20には、のぺっと平たいな?という印象を持っていたのですが、開放型のNDH 30は完全に別物でしたね!
しかしながら、私が使用しているFOCAL SHAPE 50とは音傾向のギャップがあるため、候補から外しました。
KHシリーズモニタースピーカーがメインモニターという人は、絶対にこのヘッドフォンにしたほうがいいですね!
私がもしそうだったら、このヘッドフォンを選んでいたと思います!
開封の儀!
段ボールを開けてすぐの化粧箱。
箱もなかなか重厚感があります。
ヘッドフォンが入ったキャリングケース。
こちらもしっかりとした作りですね。
もし持ち運ぶことになったとしても安心です。
ようやくヘッドフォン本体とご対面!高級感満載!
ストレートケーブルも収納されていました。
こちらはオプションがまとまった箱。
マニュアル、交換用イヤーパッド、カールコードが収納されています。
マニュアルは熟読し、エージングが推奨されていましたのでしっかりエージングしました。
Clear MG Pro を1か月使ってみた感想
使い始めてすぐに機材の良し悪しを100%判定するというのは難しいものです。
というわけで1か月ほど使ってみたのですが、下記の点で非常に気に入って使い続けております。
ヘッドフォン作業時のストレスが激減!
FOCAL SHAPE 50 と音質傾向が同じなため、ヘッドフォンでの作業が主体となってもほとんどストレスが無くなりました!
以前はスピーカーとヘッドフォン間で、周波数バランスも空間の見え方も異なっていたので、ミックス完成!と思ってチェックする際に、スピーカーでは良い感じだけどヘッドフォンでは微妙だな、逆にヘッドフォンでは良い感じだけどスピーカーでは微妙だな、ということが頻発していました。
ゆえにスピーカーとヘッドフォンを行き来する回数が多くなり、かなりのストレスだったのですが、FOCALで揃えることでモニター音に一貫性ができて、作業効率が改善されたように感じます。
もちろんイヤフォンや密閉型ヘッドフォンでの聞こえ方も別機種でチェックしていますが、不思議とあまり大きな修正は必要になりませんでした。
おそらくClear MG Proが「スピーカーに近いヘッドフォン」という位置付けで、常にスピーカーとヘッドフォンの中間点をモニタリング出来ているからなのではないかと思います。
まだまだふわっとした感覚なので、1年くらい使い続けてみればまた違った観点でレビューできるかもしれません。
長時間の作業も快適!
他モデルと比較する際に、わりと気にしていた重量。
Clear MG Pro は比較的軽く、ヘッドバンドやイヤーパッドの作りも良かったため、長時間作業することになったとしても装着感が苦になることはありませんでした。
私は作曲〜編曲〜ミックスまで全部自分でやるタイプなので、どうしても長時間の作業になることもあり、この点でもClear MG Proを選んで良かったなと感じています。
デザインもかっこいいので、作業のモチベーション維持にも一役かっています。笑
まとめ
いかがでしたでしょうか。
このレビューがClear MG Proをご検討中の方の参考になれば幸いです。
昨今はコスパ(コストパフォーマンス)という言葉がよく使われます。
Clear MG Proはお世辞にもコスパが良いとは言えないでしょうが、むしろ購入後の作業のタイパ(タイムパフォーマンス)を良くする製品なのではないでしょうか。(高級機材全般にあてはまるかもしれません。)
私と同じように
- ヘッドフォンでの作業が中心なので、良いヘッドフォンを探している方
- スピーカーとヘッドフォン間での音質傾向のギャップに悩んでいる方
は、ぜひ一度近くのお店で試聴してみてください!
はじめて聴いたときは結構感動すると思いますよ。笑
それでは、Have a nice gear !