iZotope / Ozone 11 レビュー!Master Assistant が圧倒的に進化!

昨年のOzone 10の発表から、およそ1年という短いスパンでOzone 11が発表されました。

私はMusic Production Suite 4 (Ozone 9 Advanced) のユーザーでしたが、Ozone 11の新機能が魅力的だったため早速アップグレードをしました!

まだ使い始めて1週間程度ですが、新規購入/アップグレードを検討している方にとって参考になれば幸いです。

目次

新機能をおさらい

Clarity モジュール [Advancedのみ]

その名のとおり、ミックスを明瞭に仕上げてくれる新モジュールが追加されました。

Ozone 10で追加された「Stabillizer」モジュールや、「SOUNDTHEORY / GULLFOSS」と同じように、動的に働くEQのようですね。

ハイエンドのEQは下手にブーストすると、「耳に痛い感じ」や「不要な高域のノイズを強調してしまう」といった結果になってしまいがちですが、「Clarity」モジュールを使用すればそういったデメリットを発生させずに、ラウドに・明瞭に整えることが出来るようです。

メーカーページには、下記のように記載されています。

R&B系のサウンドサンプルがありますので、よければ聴いてみてください。

The Clarity module adaptively maximizes the spectral power of your tracks. In other words, it does the science for you, so your music sounds professional, polished, and louder without penalties.

「Stabillizer」モジュールだけでも十分だと思っていたんですが、「Clarity」モジュールもOFFにしてしまうと途端に寂しく感じてしまう、中毒性のあるモジュールです。笑

作曲や楽器演奏は出来るけどミックスは全然わからないー、という方はこもった音質になっていることが多いので、ミックスに苦手意識がある方にほど恩恵がありそうですね。

Stem Focus [Advancedのみ]

2mixをボーカルやドラムなどのStemへ分解しつつ、Stemに対して各モジュールを適用できるという新機能が追加されました。

Music Rebalance 機能が追加された時は、Stemのボリューム調整がようやくといったところでしたが (当時はそれだけでも感動しました笑)、ついにここまで出来るようになってしまったのか。恐るべしiZotope。

自作曲の場合はミックスの段階に戻れるので特にこの機能は無くても大丈夫でしょうが、マスタリング専門で業務をしている方にとっては心強いアップデートなのではと思います。

ドラムのトランジェントだけ調整したいとか、ボーカルのダイナミクスだけ調整したいとか、そういった場面で活きてきそうです。

Transient/Sustain [Standard と Advanced]

ステレオ時のL/R、MS処理時のM/Sのように、今度はTransient/Sustainに対して個別に調整が出来るようになりました。

Eventide / Split EQ」などの登場を皮切りにこういったTransient/Sustainを個別に調整するプラグインは増えてきていたので、iZotopeも順当に対応してきたという感じですね。

私自身はまだまだ使いこなせていない機能ですが、トランジェントのコントロールが重視されるようになってきている昨今、あると便利な機能のうちのひとつだと思います。

Upward Compress [Standard と Advanced]

今までのマキシマイザーは、ピーク(大きいレベル)を削るという方向で音圧を増していたのに対し、低いレベルを持ち上げるという方向で音圧を増す機能が追加されました。

Waves / MV2」も低いレベルを持ち上げることが出来るコンプレッサーとして有名でしたが、マスタリングで使用できるような水準で代替となるプラグインは無かったように思いますので、嬉しいアップデートです。

目標となる音圧まで調整する際にピークを削る量を減らせるということは、その分トランジェントを保っていられるということなので、より繊細な音圧調整が出来そうです。

Assistive Vocal Balance [Elements と Standard と Advanced]

Master Assistant 時に、ボーカルの音量が大きすぎたり、小さすぎたりすると、補正してくれる機能が追加されました。

実際には「Master Rebalance」という既存のモジュールを利用した応用技のようです。

既存のモジュールとはいえ、今まではマニュアルで調整する必要があったところを、アシスタントで調整してくれるようになったのは大きな進歩かと思います。

歌モノを作っている人にとってはボーカルの音量感は命ですので、そこをサポートしてくれるのはありがたいですね。

この機能、Elements (最下位のグレード) から搭載されているというから驚き。

歌ってみた活動をしている人にとっては、見逃せないポイントです。

Delta Buttons [Standard と Advanced]

公式の説明が、下記のとおり抽象的すぎるボタン笑

Make subtle mastering moves with confidence using new Delta buttons, enabling you to hear exactly how each module is affecting your audio.

マニュアルを読むともう少しだけ具体的に記載されており、どうやらそのモジュールが影響を与えている周波数帯域のみを聴くことが出来るようになるボタンのようです。

Clarity モジュールのように、作用する周波数帯域を調整することが出来るようなモジュールでは、たびたびお世話になりそうなボタンです。

Ozone 11 は買いなのか?

個人的には「買い」だと思います!

主な理由は下記のとおり。

Master Assistant が圧倒的に進化している!

Ozoneの機能として、多くのユーザーが頼りにしている「Master Assistant」。

2mixをOzoneに聴かせることで自動的に良い感じのマスタリングをしてくれるというA.I.様様な機能ですが、Ozone 9の時代にはEQ、Dynamics、Dynamic EQ、Maximizerくらいの少数のモジュールしか適用してくれなかったんですよね。(つまり周波数バランスとダイナミクスまでしかアシストしてくれていない。)

それがOzone 11になると、ImagerやImpactといったモジュールも適用され、周波数バランス、ダイナミクスはもちろん、ステレオ幅やトランジェントデザインまでアシスタントしてくれるようになっています。

※いくつかの曲で「Master Assistant」を実行しましたが、基本的なチェーンは次の通りになるようです。

Master Rebalance → Equalizer 1 → Impac → Imager → Clarity → Stabilizer → Dynamic EQ → Maximizer

マスタリングの段階でやってほしいことは、一通りやってくれるようになりましたね。

私自身Ozone 9を利用していた時は、ステレオ幅やトランジェントデザインなどはマニュアルで時間をかけてやっていました。

しかしながら、結局マニュアルでやるのであればEQやCompも別のプラグインで優秀なものがあるし、と実験を重ねることになり、最終的にはOzoneを使わないワークフローに落ち着いていました。

対して、Ozone 11は上述のとおりモジュールが充実しましたので、マニュアルが介入する必要性を感じさせません。

私がOzoneシリーズに期待していたのはまさに「A.I.が提案する結果に納得できること」「マニュアル操作が不要になり時短できること」でしたので、Ozone 11を導入した良かったと感じています。

マニュアルでの微調整が直感的・手軽に!

「Master Assistant」後のUI (Master Assistant View という名称のようです) が刷新されており、直感的な微調整がしやすくなった印象です。

Master Assistant View に存在するスライダーを調整することで、関連するモジュールのパラメータが動きます。

例えば、Tonal Balance セクションのスライダーは、Equalizer 1 モジュールの Amount というパラメータに連動しています。

これによって、ひとつのスライダーしか触っていないにも関わらず、Equalizer 1 モジュールの複数バンドにアクセスできています。

言葉で説明するのが難しかったので、ぜひスクリーンショットをご覧ください。笑

このような要素が散りばめられていますので、基本的に微調整の際はモジュール側でパラメータを操作する必要がなく、Master Assistant View で完結するデザインになっています。

A.I.系のプラグインって、提案された結果からの調整が不安だったりするのですが、このUIだと気になった箇所を調整してみることにあまり抵抗感が無くて良いですね。

購入前にチェックしておきたい項目

Ozone 11がいくら優れたプラグインだからと言っても、即ポチしてしまう前にOSの対応状況などはしっかり確認しておきましょう!

システム要件

メーカーページより引用。

Mac ユーザーの方は、OSの対応が Monterey 以上と新しめですので要注意です。

また、解析時のみ負荷が大きめです。解析後の負荷は、今までのOzoneとあまり変わらない印象です。

M1 Macbook Air (メモリ 8GB)、Studio One 6 を利用、という私の環境下では、CPU使用率は22%程度でした。

System Requirements
Operating systems:
Mac: macOS Monterey (12.6.8), macOS Ventura (13.5)*
Win: Windows 10, Windows 11
*Supported on Intel Macs and Apple silicon Macs (Apple M-series chips) in Rosetta 2 & native

Plug in Formats:
AAX, AU, VST3. All plug-in formats are 64-bit only.
Note: VST2 is no longer supported.

マニュアル

いまのところは英文マニュアルしか存在しないようですので要注意です。

Ozone シリーズは触れば触るほど、こんな機能も搭載されていたのか!という発見がありますので、ぜひマニュアルに目を通してみてください。

例えば今回のOzone 11ですと、Master Assistant View にあるOutput Level って何だ?と思って調べたところ、「Streaming に設定すると Maximizer モジュール内で Output Level が -1.0 dB になり、True Peak Limiter が ON になる」といった発見があります。

Ozone 11 Help Guide

グレードの機能比較

Ozone 11 には、Elements / Standard / Advanced の順に3つのグレードが存在します。

グレードの機能比較は、下記リンクに分かりやすくまとまっていますのでチェックしておきましょう。

Compare Ozone 11 features

Master Assistant のチェーンに組み込まれている Clarity モジュールが優秀なので、予算がある方は Advanced がおすすめ!

Ozone 11 が含まれるバンドル

Ozone 11 は、「Music Production Suite 6」「Mix & Master Bundle Advanced」「iZotope Everything Bundle」にも含まれます。

他のiZotope製品もまとめて入手したい方は、バンドルもチェックしておきましょう。

まとめ

Ozone 11、順当なアップデートでしたね。

  • マスタリングが苦手だ!
  • マスタリングに時間をかけたくない!
  • マスタリングには慣れているけれど、より強力なツールが欲しい!

という方は、ぜひ導入を検討してみてください。

それでは、Have a nice gear!

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